中原ぬこさん

言葉で遊びましょう

 

むかしね、君によく似た人がいたんだ
君とその人の話し方のテンポや言葉遣いがとても似ていた
わたしが放った言葉を、じっくりと時間をかけて噛み砕いたり解釈したり思考を2~3転させたりしているようで。他の人は間が悪いなと思うかもしれないようなテンポで言葉を交わせていたことを、嬉しく思ったことを思い出した


その人ね、じっくり考えても、興味が無ければ素っ気なく「ふ〜ん」って返したり、興味があっても多くを語らないようで、「君はそれをどう思うの?」と聞かれるとドキッとしてしまうけれど、自分の考えを言ったら「それでいいんじゃない」、とかね

でもたまに理論的な話をするものだから、その人は雲みたいに掴めないなって思ってた

蝉の話とか傘立ての話とか将棋だってさせるしね


てきとうそうな返事でも、「ふ~ん」じゃないだけでものすごく素敵な返しに思えて、その人の発する一言ずつがとても愛おしくて、その人が語らない部分が大好きで、ぎゅーっと胸に抱くように受け止めたのを覚えてる

わたしが首を輪にかけて吊ろうとした話をした時に、その人は「欲求不満?」って言った
全然どうしてそう思ったのかすぐにはわからなかったけど、じっくり考えたらわたしもわかったんだよね、それで「あぁこの人は思考の回転が独特すぎるな」と感じた

 

だからね思ったんだ、君は犯罪を犯したことがあるかもしれないって
なにか独特の、どす黒くて頭が重たく感じてしまうような、そんな嫌な感情たちをまたさらにぐちゃぐちゃに鍋で煮たような、なんかそんなね、そういうの、持ってんのかなって

でもその人のことを、不思議と愛おしかった

 

君は君だし、その人はその人だから関係ないんだけれど、とても似ていて思い出したんだよ、背丈や体格や醸し出す雰囲気まで似ているものだから。

唯一君はメガネをかけていない点だけ、それだけだよ