中原ぬこさん

言葉で遊びましょう

夏がぴったりなあの子の足元

 

お気に入りの天然水を片手に、よっと歩道橋を飛び降りた。ぐしゃり。
そこには何も残らない、残らなかったのだ。
そう、残らなかった。
残酷な音だけは響いた気がするけれど、残酷なはずのその肉体は欠片も散らばってはいなかった。

どうでもいいよ、腫れ上がった拳なんか、痛くもなんともない。それにどす黒い痣があった方がわたしの身体に似合うでしょ、なんて。

 

もうアンクレットの季節だね。
素足で少しヒールの高いサンダルを履いて夏を跋扈する、そういう季節のこと。
頭が重たい。また化学物質のせいだとは思った。

 

スイートライズ
サンライズ
あの子の日々はハッピーデイズ

 

もう一本もう一本もう一本で見送ったもう一本
かかってこない電話を待つのは苦しい
でも電話をかけるのは難しい
着拒されてたらどうしよう
他の誰かと話し中だったらもどかしい
そんな気持ちばかり溢れちゃう、ごめんね大好きで
いまでもきみのこと気になっちゃう、ついついむしっちゃうささくれみたいに、それに心のトゲも抜けないの

 

分かり合えると思ったのに、あとちょっとでも何でもなかったね
そう思ってラブレターをびりびりに破って捨てた
ぎゅんって心掴まれて、そのあと解き放たれる瞬間って最高だなと思った
だからもーどうでもいいかもね
いちいち伝えてくれないと、本当にわかんないよばかり
一からやり直すのももう遅いと思う
まだまだわたしが悪いのかな

きみのためを思って生きようとすることと死のうとすることはほぼほぼ同じだと思ってしまっていた過去の未熟なわたしを、わたしは愛してあげることを選ぶしかないんだ
きみがわたしを着拒する理由に充分足りるように。