またあいつがやってきた
ふらっとやってきてはどこかへ消える
名前の無い場所に向かって
行き先の書いていないバスに乗った
よく知られているアーケードをくぐったら
秩序のない世界に迷い込んだ
迷い込んだなんておかしな話だ
足を踏み入れたのは自分なくせに
今夜の記憶はここに置いて帰ろうと
浴びるように酒をあおった
もしかしたら消毒液だったんじゃないか
もしかしたらただの水だったんじゃないか
そんなのどうだっていい
だってここに置いて帰るのは今夜分のメモリだけ
覚えていても仕方の無いことだけ
知らない街で知らない人と盃を交わすだけ
嘘ばっかの経歴を語ってみただけ
最近やたらと揚げ物が食べたい衝動に駆られる
SNSで見かけたデータによるとカリウム不足らしい
血液検査の結果はそういえばカリウムが基準値以下だった
ちゃんとできている、この世の中は
ほとんどちゃんと数値化できるんだと思った
もしかしたらわたしが考えていることも統計の範囲かもしれない
同じような者が同じような訴えをする
そういう病的な部分が予めある程度決まっているものだと思ったら
本当に虚しくなってしまうよ
わたしはどこにあるんだろうって
わたしは普段頭の中で会話をほとんど常に繰り広げているんだけど、誰としてるかと聞かれたらけっこう難しくて、なんとなく曖昧な存在と会話している
これってもしかして普通じゃないんだろうか?
多重人格とかそういうたいそうな話ではないと思う
誇大妄想やそれに付き合わせている架空の相手と会話してる、みんなはそういうのないのかな
周りの人間はそれぞれ多様に見えるのに
どうしてかわたしだけすっぽり
なんだか一様に感じてしまうのは
コレステロール値が遺伝的に少し高かったり
カリウムが基準値以下だからなんでしょうか
血液検査の結果、異常はございませんでした
どんだけ虐めてもね、ほんとに普通の人の数倍時には数十倍毒を自分に盛っても、こうも異常が出ないんなら、許される気がするでしょう