中原ぬこさん

言葉で遊びましょう

実は左肩

 

夜ってどんなだろうか

大切な誰かがいなくなるかもしれない
自分の心臓が止まるかもしれない
天災にすべて奪われるかもしれない
ある日突然神様のいたずらとしか思えないような
巨人の指先でひょいと世界からつまみ出される可能性。
あるいは眠らない街で過ごす
寝て覚めたとき

眠れない夜はどんなだろうか

目覚めた時に「今日がきてしまった」なんて思ってしまう生活やその思考を構築する世界が悪いのだろうか。
明日がきてしまって、また一日を乗り越えないといけなくて、それが嫌で「今日」を延長し続けて、
寝静まった住宅街で聞こえる廃品回収車
音と共にきっと排気ガスも、静かな街に余韻を残して
そうすると1人で真夜中に散歩に行くと、誰もいないような誰かいてくれているような、あるいは何か世界との隔たりをその余韻の中に感じては、安心したり、孤独を淡々と感じたり

夜ってだけで普段の世界とは違うようで壮大なものに感じては自分のちっぽけな存在に気づいたり、この時間と空間と空気を、ほんのりぼやけて見える星々が輝く空を、わたしだけが独り占めしているような
そしてまた、わたしが佇まうほとんど真っ暗な夜の空には、ベッドもトイレもお風呂も生活雑貨も何も無いけれど、どうしてか居心地がいいのは、普段の喧騒に慣れたくない反抗心からくるものなのかもしれない

馬鹿みたいな喧騒が居心地が良いくせに、ふと静まり返った、ぽつんと立っているわたしが客観的にどう見えるのか、なんとなく気になってしまう裏返しで、見知らぬ人と話し込むことさえそれもまた心地良い

偽善、虚偽、現実、逃避

どれも似合ってどれも似合わない

その曖昧さが、わたしが考えることを息抜きに放棄することができるのならば、少なくとも悪い気はしない