中原ぬこさん

言葉で遊びましょう

幸福なこと

 

 

ぐしゃぐしゃでどろどろした黒い感情が誰かにバレたい。

わたしの細い手足を誰でもないわたしが大事にしたい。


人間は猫ではない。ごろごろ鳴いておまんまちょーらいって甘える人間は人間ではないのである。人間とはなにか。人間とは、世の中に出て初めて人間となれる。社会的地位、家族、友達、趣味、猫、どれに対しても平等に多大な責任を負えて初めて大人の人間になれるのである。


わたしの手足もわたしの脳も胸も顔も、わたしのものなのに誰かのものになり得るかもしれないと思うと、夜寂しくなってしまう。寂しいとは、他人の温もりを知っているからで、素晴らしく幸福なことである。でも例えば、愛を注いだのに注がれない寂しさ、こんな不幸なことは無い。ただやはり、見返りを求めることは愚かなことだなと思う。

期待は裏切りから生まれるのかもしれない、雛は純粋無垢でつぶらな瞳を我々に向けて、ただ甘えてるだけ、なんて。

ピーピー鳴いて許されるのは、雛だけじゃないといい。