濁らせてしまった日常
わたしのどういうところが好きですか
正しくないところ
あるいは首筋から胸にかけて
美しく真っ直ぐなところ
それはいつであっても
わたしの首を締められる頸動脈
わたしの突けば動かなくなる心臓
煌びやかな日常
わたしのどういうところが嫌いですか
間違わないところ
あるいは脚の後ろのひざの凹んだところ
それはいつであっても
壊せば立てなくなってしまう
きっと杖をついて、三本脚で歩くでしょう
わたしの頸動脈と心臓と膝裏を
あなたになら捧げてもいいでしょう
だってもちろんわたしだって
あなたの大事な血管や臓器やヒトの急所を
あずかるつもりだから
そうであれば、どうせならあなたの声帯も
わたしがあずかりましょうか
それはいつであっても
他の誰にも愛を囁かないように
わたしにだけ聴かせてくれればいいのだから
言葉とは、ひとを縛りつける呪いでしょうか
言葉とは、ひとに助けを求める救いでしょうか
言葉とは、愛を囁く音でしょうか
言葉とは、人を殺めうる刃でしょうか
言葉とは、わたしたちを着飾るアクセサリーかもね