中原ぬこさん

言葉で遊びましょう

ハッピーバレンタイン

 

薬物依存症の治療で最も効果的なのは自助グループだと億回聞かされた。だけど、本人に治療の意志がないと行っても無駄じゃないですか。というか意志ないから行かないし。
なんでオーバードーズだなんて、バカなことをするんだろう。365日今日は何食べようかなって考えるよりもはるかに多く、それはもうまた億回自問自答したけれど、結局毎回何もわからない。
ぬるいお水はおいしくない。
点滴している肘を曲げると痛い。
いまつけているアクセがかわいい。
看護師さんは毎回優しい。
わかることはたくさんある。自分の中の考えなのに、そこだけがわからない。なんで大量の薬を飲もうという考えが浮かぶのだろう。


別の誰か他人を演じてるみたいだと主治医に言うと、それは現実感がないんだよと言われた。
わたしはわたしでいることができていなくて、どこか他人を演じていて、よく自分のことになるとどうでもいいやと思って自傷行為をする、本当の自分であれば世界はどうでもよくはならなくて、そんなことせずにもっと自分を大切にできるとか、現実にいるわたしはわたしじゃなくて、わたしで在れる世界は心の奥底にしかなくて、普段いるのは他人の世界のように感じている、らしい。


じゃあ、雨が降ったら迎えにいく。いい天気には散歩に行こう。おいしそうな雲が空で自由にしていると、わたしはそれに憧れる。空は楽しくて綺麗なのに。なのになに?冗談じゃねえわ